7~8月にかけて関西国際空港を利用した人を中心に、はしか(麻疹・麻しん)にかかる患者が増加しているようです。
厚労省によると、8月31日までに同空港の職員16人がはしかと診断されており、また同じく関西国際空港を利用して海外から帰国した男性もはしかにかかっています。
この男性は帰国後、千葉県幕張メッセにて行われた人気海外アーティストのコンサートに参加しており、空港職員のはしかと同じ型だった他、同じコンサートに参加した他の客2名もはしかと診断されています。
厚生労働省の専門家会議では、予防接種を受けていない人は早めに受け、また熱や発疹などの症状が出た場合はすみやかに医療機関を受診するよう呼びかけています。
それでは、そもそもはしか(麻しん)とは一体どんな症状が出るのでしょうか?
また大人でも予防接種は受けられるのか?など調べてみました。
はしか(麻疹・麻しん)とは?どんな症状が出る?
はしかとは、ウイルス性の感染症で、麻疹ウイルスによって感染する病気のことです。
和語で「はしか」と呼んでいますが、麻疹・麻しんも同じ病気のことを指します。
高熱やせきなどで体力の消耗が激しく、免疫力の低下による肺炎や中耳炎などの合併症も多いため、かかると厄介な病気の一つです。
また、感染力が非常に強いので、集団の中に1人はしかの患者がいるとあっという間に流行してしまうのも特徴です。
麻疹ウイルスの潜伏期間はだいたい10~12日ほどです。
はしかにかかると、カタル期・発疹期・回復期の3段階に症状が移っていきます。
カタル期
潜伏期を経て、はしかの症状が出始める3~4日間は、37~38℃の発熱、せき、くしゃみ、鼻水、身体のだるさといった風邪に似た症状が出ます。
カタル期の発熱は一旦治まります。
発疹期
症状が強く出る時期です。
- 発熱‥再び高熱が出るため、二峰性の発熱と言い、はしかの特徴でもあります。3~4日高熱は続きます。
- 白目の充血、目やに
- コプリック斑‥頬の内側の粘膜に白いポツポツが出来るのをコプリック斑と言います。これが見えると「はしか」だと診断がしやすいです。
- せき
- 下痢
- 発疹‥初めは顔や耳の後などに4~5ミリの丸くて赤い発疹が表れ、その後胸、お腹、背中や足先などだんだんと身体中に広がっていきます。
回復期
発疹が身体中に出る頃には、発熱も治まり、だんだんと元気になっていきます。
発疹が赤っぽい色から紫色っぽくなることもありますが、発疹が跡に残ることはありません。
はしか(麻疹・麻しん)の感染経路は?
はしかの感染経路は、
- 空気感染‥空気中に飛散した病原体を吸い込んでしまうことで感染
- 接触感染‥病原体が付着した手などで口や鼻に触れること感染します
- 飛沫感染‥咳やくしゃみで放出された病原体を吸入することで感染するもの
など多岐にわたっています。
こんなに感染経路があるなら、はしかにかかった人が集団の中にいたら、だいたい感染してしまいますよね!
ワクチン接種を受けていないなど、麻疹ウイルスへの免疫がない人が接触すると、9割以上が感染すると言われるほど、はしかは非常に感染力が強い病気なのです。
また、マスクなどでの感染予防は効果がないので、今のところはしか(麻疹・麻しん)を予防するには、ワクチンの予防接種が有効だとされています。
はしか(麻疹・麻しん)の治療は?
残念ながら、はしかそのものを治療する薬はありません。
もしはしかにかかってしまったら、発熱やせきなどの症状を和らげるための対症療法が中心になります。
赤ちゃんや妊婦がはしかにかかった場合は危険!
前述したように、はしかにかかった場合は有効な薬などがないので、症状が治まるのを待つしかありません。
しかし、抵抗力が下がることによって、脳炎や肺炎などの合併症を引き起こしやすいため、赤ちゃんや妊婦がはしかにかかった場合はさらなる注意が必要です。
妊婦がはしかにかかった場合は、胎児に先天性の奇形があらわれることはないとされていますが、早産や流産の危険性が高まってしまいます。
また、赤ちゃんがはしかに感染すると非常に深刻な症状となり、死に至る可能性もあるのです。
はしか(麻疹・麻しん)の予防接種について
子どもは1歳になると「麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」という予防接種が受けられるため、麻疹ウイルスへの免疫がつきます。
しかし、中には「一度も予防接種を受けたことがなく、はしか(麻しん)にもかかったことがない」という方もいらっしゃいますよね。
そういった場合でも、予防接種を受けることはできますのでご安心ください。
予防接種の費用は自己負担になってしまいますが、大人でも麻しんの予防接種を受け付けている医療機関がありますので、かかりつけ医などにご相談の上、予防接種に行かれてくださいね。
また、もしはしかの患者と接触した可能性がある場合、72時間以内に予防接種を受けることで効果があると考えられていますので、そのような場合は一度医療機関にご相談ください。
はしかは感染力も強く、合併症を引き起こしやすいため、非常に深刻な病気です。
最初の段階は風邪に似た症状なので、はしかと診断しづらいかもしれませんが、はしかの可能性を意識せず病院などにかかったり、そのままにしておくと感染拡大の恐れもあります。
もし体調が気になる方、はしかに似た症状が出た場合は、すみやかに医療機関を受診するようにしてくださいね。