配偶者控除の廃止について、ずいぶんと前から様々な議論がなされてきましたが、いよいよ本格的に廃止に向けての検討を始めるようです。
配偶者控除が廃止になれば、様々な家庭に影響をおよぼすことになるかと思いますが、
- そもそも配偶者控除とは何なのか?
- パート収入、専業主婦の家庭ではどれだけ負担が増えるのか?
配偶者控除の制度について、調べてみました。
配偶者控除なぜ廃止の動きになったのか?
まず、働いて収入がある人は、その収入額に応じて税金を収めなければなりません。
結婚をして配偶者がいる場合には、この課税の負担を減らしてあげようと言う目的で、配偶者控除の制度が導入されました。
配偶者控除が導入された高度経済成長期の時代は、「夫は外で働いて妻は家庭を守る」というような風潮が強かったため、共働きの世帯も多くはありませんでした。
しかし、現代の日本では女性の社会進出も増え、共働きの家庭も多くなりましたが、税負担を軽減しようと、この配偶者控除の上限金額までしか働かないよう調整する人がたくさんいます。
- もっと働きたいけれど配偶者控除があるのでセーブしている人
- 年末調整が近づくと配偶者控除のために働き手が足りなくなり、困るお店や企業
- 「働きたいけど収入は増やせない」「たくさんの時間働いて欲しい企業側」双方のニーズが合うため、時給の相場が低いこと
などの問題を解決できるよう、配偶者控除の廃止を検討するに至りました。
配偶者控除とは?制度の仕組みについて
そもそも配偶者控除とは?
会社員の妻(夫)の年収が0~103万円の場合に受けることのできる、所得の控除を言います。
控除とは、課税される税金が少なくなることです。
よく聞く、「扶養の範囲内で」というのは、この配偶者控除の上限である103万円を超えないように収入を調整するということですね。
参考:キジトラ速報
パートやアルバイトなどの収入額を、この扶養の範囲内である103万円に抑えることで節税のメリットがあります。
例)
夫の所得額‥500万
妻の所得額‥パートの収入などが103万以下
この場合、配偶者控除を受けることができるので、夫の所得額から38万を引いた462万が課税の対象となるため、節税をすることができます。
103万円という金額はどこからきている?
配偶者控除を説明する際によく出てくる103万円という金額ですが、これはどこからきているのでしょうか?
パート収入の場合、収入額から給与所得控除65万円を差し引くことができます。
配偶者控除の条件は、合計所得金額38万円以下となっています。
つまり、(給与の収入金額)-65万円(給与所得控除)=38万円(所得金額)となり、
これを計算すると、配偶者控除を受けるための条件が103万円という金額が算出されるわけです。
配偶者控除の廃止によって専業主婦やパート収入の家庭にどんな影響がある?
さて、現在配偶者控除を受けている方にとっては、
配偶者控除の廃止によって、どのくらい税金の負担が増えるのか?
が気になるところですよね。
ざっくりとですが、もし配偶者控除が廃止されると以下のような負担が考えられます。
所得税 (税率5%~40%) |
控除額の38万円に5%~40%を掛けた、 1万9,000円~15万2,000円の増税。 |
住民税 (一律10%) |
控除額の33万円に10%を掛けた、 3万3,000円の増税。 |
つまり、所得税と住民税を合わせると、5万2,000~18万5,000の増税となるわけです。
もっとも、所得税が高いということはそれだけ収入額も多いということですが‥。
それでも、税金の負担が上がるのは、嬉しいことではないですよね。
しかも、これは税金を払っている人にかかるものなので、専業主婦でもパートタイマーのご家庭でも同じです。
専業主婦のご家庭であれば、ご主人の収入が減るイメージですね。
パート収入がある方は、103万の壁がなくなるので、働くパターンを大幅に変えることを検討しても良いかもしれません。
私の周りの結婚している友人も、「夫の扶養範囲内で」ということでパートの収入額を調整している子がよくいます。
もっと働きたかったけどセーブしていた、という人にとっては良いニュースかもしれませんが、税金の負担が大きくなるのは家計にとってもあまり良くないことですよね。
まずは配偶者控除についてよく知り、専業主婦やパート収入の方は、自分の家計にどんな影響があるのかを理解することで、配偶者控除の廃止後に慌てないようにすることが大切ではないかと思います。